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現代NBAのオフェンスはもはや止められないのか?

今季のNBAは高得点試合が続出しており、

ここまで絶好調のGSWとMILに至っては平均得点が120点を超えている状態。

 

これを受けて、

ESPNの記者であるブライアン・ウィンドホースト氏が

「NBAのオフェンスの爆発は止められない」

と題した記事を書いています。

NBA offensive explosion

 

要約すると、(というか和訳すると、)

 

◆NBAにおけるオフェンスの爆発

・オフェンスの進化と度重なるルール改正によって従来のディフェンス戦術が通用しなくなり、その結果オフェンスが爆発した。

 

・レギュレーション中に140点以上を記録した試合は2014年〜2016年までの間に3回だけだが、ここ2年の間にはそれぞれ8回ずつ記録。今シーズンに至ってはひと月で6回も記録している。

 

エンターテインメントの観点からは素晴らしいことだが、「ディフェンスが優勝に導く」という言葉が今ほど時代に合わなくなったことはないだろう。年俸2000万ドルで契約をしたときにジャバリ・パーカーは「奴ら(球団)はディフェンスに対して払わない」と言った。

 

・SASのHCであるグレッグ・ポポビッチ「現代NBAで先進的なディフェンスは難しい。スイッチディフェンスが答えのように言われているが、それは選手次第。」

 

◆オフェンス-ディフェンスの歴史

・マイケル・ジョーダンの時代の末期、2003年〜2005年ではNBAファイナルで80点を割る試合が複数あり、テレビ視聴率も低迷。

※2005年のGame1はDETが69点しか取れずにSASに敗れている。

 

ハンドチェックに対するコールが厳しくなり、ドライブを得意とする選手たちはこの恩恵を受けた。翌年、アイバーソンはフリースロー成功数1位となって得点王。そのまた翌年は、コービー・ブライアントが819回もフリースローラインに立ち、その時の平均得点35.4は近年破られていない。

 

・これに対して編み出されたディフェンスが「shrink the floor(コートを狭めろ)」というもの。オフェンスのコースを限定してヘルプディフェンスへ誘導する戦法で、SASが特に得意としていた。

 

・しかしここで最大の転換点。マイク・ダントーニが「7秒オフェンス」を始め、エリック・スポールストラが「スプレッドオフェンス」を始め、マイク・ブーデンホルザーがパスを多用するオフェンスを取り入れ、これまでのディフェンスを解体した。「shrink the floor」は「spread the floor(コートを広げろ)」に負け、ここで「ストレッチ4」が始めて登場し、後の「ストレッチ5」登場への序章となった。

 

◆唯一の特効薬?スイッチディフェンス

・ポポビッチHCが言った通り特効薬はスイッチディフェンス。これによりビッグマンはコートどころかリーグからも居場所を失いつつある。スカウトは大学やヨーロッパからスイッチができるビッグマンを探している。

 

・しかし、あるアシスタントコーチによると「ほとんどの選手はスイッチディフェンスのやり方を知らない。そうするように教えられてきていないから。スイッチは簡単に聞こえるが実は難しい。」

 

・色々なコーチから話を聞けば聞くほど同じ声が帰ってくる。スイッチディフェンス自体は昔からある戦術。新しいのはそのコンセプトで、スイッチを試合中ずっと続けなければいけないということ。これまでは試合終盤や相手の分かっているプレーオフの特定のタイミングでのみ用いられてきた。

 

・CLEの前HCであるティロン・ルーはレギュラーシーズン中はほとんどスイッチせず、ポストシーズンからスイッチを多用した。これは長いレギュラーシーズン中はチームの力を制限するためだった。

 

・あるコーチ曰く「現代NBAでディフェンスを上手くなるためには、頭が良くてよく喋ることが必要。多くの選手はディフェンス時に黙ってしまう。」

 

GSWはこの点で一歩先に行っている。彼らは毎回スイッチするため、ジャベール・マギーやザザ・パチュリアといったビッグマンを手放し、デイミアン・ジョーンズをロスターに加えた。

 

・GSWは相手がステフィン・カリーを相手オフェンスの標的にしてくることを当然わかっているため、ダブルスイッチをしてカリーが標的になることを防いでいる。「スイッチャーをスイッチする」という戦法だが、これはとてつもなく難しい。GSWにはドレイモンド・グリーンやアンドレ・イグダラという頭が切れて声のデカい選手がいるからこれが実現可能。もちろんこれらの選手を探すのは大変で、時に育成は不可能とも言える。

▼【参考動画】GSWのスイッチディフェンス

※普段ディフェンスに目を留めていない方は是非一度観てみてください

 

・結論。ディフェンスはオフェンスに一世代遅れを取っている。この終わりなき戦いに次の切り口を見つけたコーチやチームは賞賛に値するだろう。

 

 

カリーがスリーポイントラインを気にせずにシュートを打ち出してからNBAの試合は一気に変化していったように感じます。

今後「ディフェンスが優勝に導く」時代は再び訪れるのでしょうか。。

 

 

【絵】パス。少し着色。

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