フリースロー時のラインバイオレーションは何故コールされないのか?
GSWとHOUが激戦を繰り広げているCSF。
HOUのホームで行われたGame4を見ていて、ふと疑問に思いました。
フリースローの時、普通に線踏み越えてるけど、これって駄目なんじゃなかったっけ?
と。
あまりに普通に踏み越えているので自分の認識が古いのか、あるいは間違っていたのかと不安になり、
はたまたNBAお得意の特別ルールでもあるのかな、と思って調べてみました。
すると、NBAルールの「Rule NO.9:Free Throws and Penalties」の中にしっかり書かれていました。
"フリースロー試投者は、ボールがリングかバックボードに当たるまで、またはフリースローが終わるまで、フリースローラインを踏み越えてはいけない。"
では、なぜレフリーは笛を吹かないのか。
この件はこれまでにも問題になっていたようで、2017年のワシントンポストの記事が出てきました。
記事によると、当時BOSのエースとしてプレーオフで大活躍していたアイザイア・トーマスが明らかにラインを踏み越えることが多々あり、一部で物議を醸していたようです。
確かに上記記事内の当時の映像や画像を見るとライン踏み越えは間違いなく行われていたようです。
これについて、25年のNBAレフリー歴を持つスティーブ・ジャビー(現ESPNアナリスト)が次のように語っています。
「時として、ルールはある目的をもって作られる。」
「このルールは真っ先にリバウンドを取りに行けないようにするために作られた。その行為によって選手がどのようなアドバンテージを得られたか、ということを考えると、トーマスは踏み越えたからと言って何のアドバンテージも得ていないと考えられる。ただ、シュートを打ってすぐに走ってリバウンドを取ったら明らかな違反。」
このルールの目的のもう一つは、フリースローでダンクするのを禁止することとのこと。
1956年に大学バスケでできたルールだそうですが、これは7"1'(約216cm)のウィルト・チェンバレンがライン後ろから飛んでダンクすることへの対応だったとのことで、当然、5"9'(約175cm)のトーマスに対して持ち出す必要はないですね。
もう一つ過去にあった事例として、シャキール・オニールも該当するようです。
彼もトーマスと同じく、リングにボールが当たる前に前傾姿勢になってラインを踏み越えていました。
DALのオーナーであるマーク・キューバンからの抗議もあり、当時は審判団内でシャックのフリースローを注意して見るようにという周知がされていたとのこと。
「バイオレーションと言われれば確かにその通り。」
ジャビー氏はこのように言っていますが、少なくともこの踏み越えによって不利益を被っているチームがない以上、現状のトーマスやシャックのようなフリースローに文句が付けられることもなさそうなので、
「ラインを踏み越えてもリバウンドに関わるプレーに関与しなければ黙認」
という暗黙のルールがこのまま定着するのでしょう。
個人的には、こういう曖昧さが将来の重大な誤審を招かないことを切に願います。